ポーテージプログラムとは

応用行動分析を使った親・家族中心の個別プログラム

「新版ポーテージ早期教育プログラム」は、一人ひとりの子どもの発達に応じたアプローチをする個別プログラムであり、
親・家族が指導の中心となって、主に家庭などの日常生活の中で指導を行う家庭中心プログラムです。
応用行動分析の原理を用いて指導の目標や結果を具体的に記録しながら行動目標の達成を目指します。

ポーテージプログラムを紹介する小冊子、『ポーテージプログラムとは?』をこちらからダウンロードできます。

個別のプログラム -発達の系列性順序性に沿った確かな指導計画-

社会性言語身辺自立認知運動乳児期の発達の6つの発達領域と呼ばれる観点に分けて、それぞれ行動目標が用意されています。
子どもの発達の現在の様子、特徴を細かく詳しくアセスメントするために用います。

5つの発達領域のかかわりを考慮して様々な観点から発達にアプローチ
そしてチェックだけではなくそこから子どもの現在の指導目標を561の行動目標の中から選び、設定することができます。
子どもの興味や親・家族が子どもに学習してほしいと思う行動目標を設定できます。
一貫した指導ができ、客観的な評価ができます。

親・家族支援

ポーテージプログラムの特徴の一つが、親が家庭で行う指導です。ポーテージ相談を通じて、親に子どもの発達を見る目と子育ての力を養い、子どもにとって自然な家庭という環境のなかで、親が中心となって家族の協力を得ながら子どもの発達支援が進められるように支援していきます。
保護者の方は、日常生活の中で子どもにどのように働きかけたらよいかわからず、不安になりがちです。
他の子どもと比較して焦ることも少なくありません。
ポーテージ相談では、それら一つ一つに耳を傾け、具体的に助言していきます。
そして、子どもの発達を正しく理解できるようになると共に、子どもの幅広い行動に対応できるようになり、親としての自信が持てるようになります。

親・家族への支援とは
・子どもを知ること
・親と子どもが コミュニケーションを楽しめるようになること
・子どもを成功に導く視覚支援や環境調整の方法を知ること
・発達を促す 適切な支援の方法を知ること
・支援の仕方を人に伝える方法を知ること
・子育て仲間が出来ること

発達障害のある子どもを持つ親支援プログラムの開発とその効果の検討井上雅彦(鳥取大学大学院 医学研究室 教授)

応用行動分析 (ABA)

指導技法の基礎には、応用行動分析(ABA)の原理があります。
チェックリストから選ばれた行動目標は、その子どもの発達の状況に応じて、必要な場合には達成可能なまでに行動をいくつかのステップに細分化します(スモールステップ)。
そして、身体的援助、視覚的援助、言語的援助およびそれらの組み合わせで、援助していきます。
そこでも、適切な補助を与えるプロンプトなど、応用行動分析の技法を使います。
応用行動分析(ABA)の中心となる原理は、望ましい行動はほめるという強化の原理ですが、望ましくない行動を止めさせたい場合は注意したり叱ったりしないで、知らん顔をする(消去)望ましい行動(代替行動)を提示してその行動をするように促す、ほめる(強化)などの原理も応用していきます。

ポーテージプログラムをよりよく知るためのコラムです

ポーテージプログラムとインクルージョン

インクルージョンとは、障害がある子どもとない子どもが共に学ぶことと近年は言われがちですが、ただ一緒にいるだけではインクルージョンとは呼びません。インクルージョンは障害のあるなしに関わらず、一人ひとりのニーズに応じた特別なニーズ教育を目指していくものであり、Education for allとも呼ばれているものです。

happy family of five

 身長の発達をみても個人差が大きいのに、脳認知発達も個人差があります。それなのに、年齢で課題を決めて、同じ年齢だから同じ教材でいいのでしょうか?人間誰しも苦手なことを頑張るのは辛いことですが、得意なことを頑張るのは楽しいことになります。そして、得意/苦手は絶対的なものではなく、しょせんその集団内の相対的な位置にすぎません。
 インクルージョン・インクルーシブ教育のはじめとなるユネスコのサラマンカ声明(1994)においても、「すべての子どもは誰であれ、教育を受ける基本的権利をもち、また、受容できる学習レベルに到達し、かつ維持する機会が与えられなければならず」とあるように、単に場が一緒になればいいのではなく、障害があるなしに関わらずすべての子どもに受容できる学習レベルの保証が求められています。
 またユネスコを中心としたインチョン宣言(2015)においても、障害のあるなしにかかわらずすべての子どもに対してインクルーシブ教育のもと公平・公正な質が高い教育と生涯学習が主張されています.これは,SDGsの教育に関するものとなっています。

ポーテージプログラムは応用行動分析の原理のもと、行動の理由を障害や年齢のせいにすることなく綿密なアセスメントのもと個別の行動目標を設定し、個別の指導計画の作成を重要視することを開発されてから50年近く大事にしてきましたそして共に学びながらも、個人のスキルの獲得と発達をしっかりと支援していくことを今も大事にしています。まさしくインクルージョンの目的に合うものだと考えています。

インクルージョン保育のためのグループ指導カリキュラム

グループ指導カリキュラム導入のすすめ

2歳~6歳までの発達水準の幼児向けアセスメントと指導計画

「インクルージョン保育のためのグループ指導カリキュラム」は、生活年齢ではなく発達水準が2歳~6歳までの幼児に適用することができます。グループ指導チェックリストを使ってアセスメントを実施し、その結果をもとに、一人ひとりの子どもの発達水準やニーズに応じた個別の保育・指導計画を作成します。

一人一人の発達水準に応じているので保育園でも利用可能

発達水準の違う一人一人の子どものニーズに対応しながら、グループで共通の目標に沿った活動を展開する(「多層水準指導」)ところに特長があります。
発達に遅れや偏りのある子どもたちが通う児童発達支援センターはもとより、殆どが定型発達の子どもたちが通う保育園などでも活用できます。

「インクルージョン保育のためのグループ指導カリキュラム」とは

  1. グループ指導チェックリストグルカリチェックリスト
  2. 行動目標一覧表
  3. 解説書

の3つで構成されています。

グループ指導チェックリスト

グループ指導チェックリストは、1 冊で12人までの子どものアセスメントが同時にできます。
5つの発達領域(身辺自立、運動、認知、社会・情緒、言語・コミュニケーション)に336 の行動目標が用意されています。
それぞれの発達領域は下位領域別、例えば身辺自立の発達領域は、食事、衣服の着脱、健康・清潔、排泄という下位領域別になっているので、アセスメントや個別支援計画の作成の際に役立ちます。

このチェックリストを使用するとグループ全体の様子、課題が目に見えて把握でき、スタッフ間で情報を共有できます。

行動目標一覧表

子ども一人一人に合った行動目標をチェックリストから選び、どのように指導するか考え、指導計画を作成します。

保育園での実践例の中に「遊びユニット」の紹介があります。ポーテージプログラムと同様に、日常生活や遊び活動において、必要な場面で、必要な量と質の援助を加えながら一人ひとりへの指導を実施し、行動目標の達成状況を記録します。