認定NPO法人日本ポーテージ協会は、2005年に『インクルージョン保育を展開するための幼児・グループ指導カリキュラム ー「遊び単元」中心の多層水準指導ー』を作成、また2015年には『インクルージョン保育のためのグループ指導カリキュラム ー「遊びユニット」中心の多層水準指導ー』へと改訂しました。

「グループ指導カリキュラム」は、保育所、幼稚園の他、現在一般的になってきている児童発達支援に係る事業所やセンター、放課後等デイサービスなどにおける集団活動の指導に適用できるように作られたカリキュラムです。グループ指導カリキュラムについて、グループ指導カリキュラム研修セミナーの講師である成澤佐知子認定スーパーバイザーに聞いてみました。

グループ指導カリキュラムとは?

「グループ指導カリキュラム」は、保育所、幼稚園、児童発達支援に係る事業所やセンター、放課後等デイサービスなどにおける集団活動の指導に適用できるように作られたカリキュラムです。

初級研修セミナーを受講された方にはPDCAサイクル(アセスメント~目標選択~実施~評価)のもと、個別に作成したプログラムを家庭と協力しながら行う指導について、よくご理解いただいていると思われます。グループ指導カリキュラムも同様に、アセスメント~指導~評価の循環過程を用います。考え方は同じです。

集団保育の中での個別支援・クラス計画

グループ指導カリキュラムは家庭という環境から、子どもたちの発育と合わせて広がる環境(集団保育)に場所を移し、多人数の集団の中で活動が適切に行えるスキルを身に着けていく、というものです。

「グループ指導カリキュラム」の特徴をあげますと、

チェックリストは、12名まとめて記入でき、クラスやグループの発達ニーズや段階が一目できます。よって、個別の目標、クラスの課題もわかりやすく、さらには個別支援計画・クラスの年間計画を立てる際に役立てられます。

→個別の目標・クラスの課題の両方がわかりやすい

→個別支援計画・クラスの年間計画が立てられる

アセスメントの場面は集団場面

ポーテージ早期教育プログラムのチェックリストと異なる点は、アセスメントの場面が集団保育の場である点です。運動の領域には製作や音楽の活動の場面があり、社会性・情緒の項目には、子ども同士の関わりや遊びに関しての項目があります。下位領域に分かれた行動目標についても、幼児の発達についてわかりやすさが増していると思います。

そして、日々の保育において行う、着替えや食事といった生活と、遊び人との関わりに関する取り組みについて、一人ひとりの子どもの発達水準に即して適切な体験が得らえるよう指導案(遊びユニット)の作成と実施につなげられることです。

→一人一人の子どもの発達水準に即した指導案(遊びユニット)の作成と実施

発達段階の違いや障害の有無にかかわらず、多様な子どもの集団に

インクルージョン教育・保育の流れの中で、保育所や幼稚園にも障害のある子どもや発達に遅れや偏りのある子どもが多く通園するようになりましたし、障害児に関わる事業所にも多様なニーズの子どもが通っています。

その中で、職員の皆さんは集団活動をしながら、一人一人の子どものニーズに適切に応えるより専門的な保育活動が求められるようになっています。

子どもが自発的に遊びを楽しむ活動を展開する「多層水準指導」でやりがいのある保育・支援を

「グループ指導カリキュラム」を導入された事業所の方からは、「今まで楽しそうでなかったボール遊びに参加できたお子さんがいた」「複数担任の間で様々なことが共有でき保育がスムーズになった」などという声をお聞きしています。

発達水準の違う一人一人の子どものニーズに対応しながら、グループで共通の目標に沿った活動を展開する「多層水準指導」の考え方は、「先生が子どもに何かをさせる遊び」ではなく「子どもが自発的に遊びを楽しむ」ことへ変化していくことと思います。

そして何よりも、集団保育を行う先生方にも多くの達成感を得られるものになると思います。

日本ポーテージ協会 理事・認定スーパーバイザー 成澤佐和子

グループ指導カリキュラムを実際に療育・発達支援現場で活用している実践例を聞いて学びましょう!

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