「岩手のとある町の療育事情とポーテージ」 ・・ポーテージプログラムは新鮮・・

ポーテージ盛岡支部 副支部長 

認定相談員 鎌田貴美子

地域で様々な療育手法の体験会を開催

 先日、盛岡に隣接する紫波町で「療育ってなんだろう?4つの手法体験会」という企画が行われた。ABA、TEACCH、PECS、ポーテージプログラムがそれぞれブースに分かれて、講演、体験型のワークショップ、グループディスカッション等を行うという企画だった。

この企画の背景には、岩手県はこれまで家庭での積極的な療育を疎んじていた傾向があり、実際に県内療育施設での保護者を対象としたアンケートでは、療育経験者は少なく、療育の内容もよくわからないという声が多く聞かれた。そこで、複数の療育手法について、理解を深めて頂き、意欲のある方へのきっかけ作りを目的としたものだった。

私たち盛岡支部も講師として参加し、当日は「療育フェス」的な盛り上がりに大盛況の一日だった。

参加定員は40人、10人のグループに分かれて、4つのブースを順に回って話を聞き、体験をするというもの。参加者の割合は、福祉関係者が全体の60%と多く、次いで保護者、医療系、学校系となっており、福祉事業所関係者の療育への関心の高まりが伺えた。

体験会当日のポーテージブースの様子

40年経っても新鮮なプログラム

 アンケートの結果も興味深く、ポーテージは①最も新鮮だったものは?・・PECS、ポーテージ、ABA、TEACCHと2番。②最も興味深いものは?・・TEACCH、ABA、ポーテージとABAに近差で3番。③最も難解なのは?・・PECS、ABA、ポーテージ、TEACCH。④これから深く学んでみたいものは?(これだけ複数回答)・・4つの手法がほぼ50%を越える結果だった。意見や感想には、「就学時検診にポーテージを取り入れては」「療育に保険適用を」「学びの場や療育の機会を増やして欲しい」「療育者の育成が必要」「またやって欲しい」等々驚くアイディアや意見があった。

 個人的には、ポーテージの新鮮度が高かった事に逆に新鮮さを感じた。単純に知っている人が少ないという事だと思うが、実は心の片隅で、ポーテージは古いのかなぁ・・と思っていたところがあった。しかしながら、そうではなく、知らないということは、見せ方や打ち出し方では、新しいものになるのだ。今回の講演では、5領域によるアセスメントの実施、チェックリスト、スモールステップ、家族支援を前面に打ち出した話の構成が、今の福祉関係者には必要な要素が多く、まさに新鮮で興味深く映ったのかもしれない。

 今年40周年を迎えるポーテージ、良い物は長く残っていくのだと改めて感じた。