急がず・あきらめずに取り組めるポーテージ早期教育プログラム
日本ポーテージ協会
理事・認定スーパーバイザー 白幡久美子
わが子の発達に希望と意欲を
子どもの発達を保障する条件は、親や周りの大人が子どもの発達に希望と意欲を持ち続けることです。言いかえれば、豊かな環境の下で多くの刺激を与え、急がず・あきらめずに繰り返し働きかけることだといえましょう。
相談員がきめ細かく課題分析を行うことで、その時の親子の心身の状態に合ったポーテージ課題を決めることができます。たとえば、子どもが課題に落ち着いて取り組めない時期、親が疲れ気味の時、子どもが入院している時などもその状況でできる無理のない課題を設定することで焦らず、あきらめずに取り組むことができます。親がポーテージ課題に積極的に関与するようになることで、親自身の意欲が持続していくことにもなります。
子育ての環境を整えるよう、相談員として親に働きかけることができるか否かが、その後親が積極的に関与するようになるか否かの決め手となります。
乳幼児のいるご家庭をはじめて訪問すると、子育て環境としてふさわしくない光景を目にすることがあります。たとえば、リビングのテレビがつけっぱなしで、子どもは眠くなったらいつでも床の絨毯の上でそのまま眠る状態。おもちゃが室内に散乱していて収納する箱もありません。子どもが寝返りをすると、ソファやテーブルにぶつかってしまいます。
相談員はこのような家庭の状況を理解したうえで、相談に応じていきます。そして、子育てしやすい環境に家庭を変えていくことができるよう、親を支援し続けます。子どもと過ごす生活環境が整うことで、親自身の育児への積極性も増していくことになるのです。
環境の改善と親の意欲を引き出す支援
親の意欲がポーテージ早期教育プログラムを継続していく原動力となります。意欲を持ち続けるのに必要なのは、親自身の心身の健康と良好な人間関係です。これらを支える
のも相談員による親・家族支援のひとつです。時には相談員が家庭の抱えている精神的負担
感に寄り添うこともあります。多くの支援を必要としているのですから、相談員の情報提供などをもとに多数の子育て協力者を得ることが、子どもの発達を保障することにも繋がるのです。
このように、相談員は子育て環境を徐々に改善し、親の意欲を引き出すよう支援していきます。だから、親は急がず・あきらめずに継続してポーテージ早期教育プログラムに取り組めるのです。