今こそ子育てにポーテージ相談を
認定スーパーバイザー 緑川桂子(神奈川県)
相談の中の一コマ
ある日のポーテージ相談でのことです。
「この数ヶ月で本当にお姉さんになったね~」と思わず言ってしまいました。
するとお母さまから「言われたとおりにやってみただけなんです」と…
相談を開始して約半年。初回の相談の日、お母さまはお話をするよりお子さんを追いかけまわすことに時間を取られていたような状況でした。お母さまは「○○ちゃん、それはママのだからダメよ」「そこは触らないでね」等々、お子さんに優しく声を掛けていらっしゃいました。
叱らずに子どもの意思を尊重して優しく寄り添う…そんな育児を心がけていらっしゃるようにお見受けしました。しかしお子さんは目に入った物を手に取っては放り投げるなど自由奔放に動き回り、母親はそれを追いかける。そんな日常にどうしてよいのか分からず困っているという状況でした。
具体的なはたらきかけを一緒に考える
そこで
①「〇〇しない」ではなく「〇〇して」と今することを分かるように伝えましょう
②「○○して」と伝えたことがしやすくなるように、必要なお手伝いをしてください
③(お手伝いをさせてくれたことも含めて)やったことを褒めてくださいね
ということをお伝えしながら実際にやってみました。
但し、①②③それぞれに、「どう伝えると分かるのか」「どう手伝うのか」「どのタイミングでどうほめるのか」がお子さんに合っていることが大切なので、その部分についてはお母さまからお話を伺いながら具体的に考えていきました。そしてその方法を生活の中で実践して頂き、その結果としての手ごたえでした。
今の環境の中で親ができることを活かしてほしい
「親が変わる(関わり方を変える=環境が変わる)と、子どもの行動は変わる」ということは「ポーテージプログラム」を知っている人にとっては、当たり前のことだと思います。子どもの行動が変わらないことを、子どものせいにしないという考え方です。
子どもの育つ環境に様々な変化を感じる今、日々の生活や親子の関わり方に工夫が必要だと感じます。
子どもにとって「適切な環境」とそのために「何ができるか」を親が主体的に考え、実践につながるようサポートする「ポーテージ相談」を、今こそ子育てに活かしたいと思います。
こちらのコラムはポーテージポストNo15 2023春号に掲載されます