やっててよかったポーテージ
気持ちや要求を伝えられる大切さ
社会性64 助けが必要な時、近くにいる人に頼む
石川県 石川湖南支部
松本仁美
発語がなくても気持ちが知りたい
発語が少ない息子の栄輝が自分の気持ちを発信できるようになったら・・・と考えている時、「おしまい」「おかわり」「牛乳」「テレビ」など、息子に親しみ深い単語の表現をするマカトン法を教わりました。そして「テレビが見たい?」「もうおしまいだよ」と、言葉と一緒に彼に声掛けを続けました。すると徐々に息子から「おかわり(ください)」「テレビ(つけて)お願い」とやってほしいことや助けてほしいことをマカトン法と言葉を使って伝えてくれるようになりました。
この課題に取り組むにあたって私の考えや子育てのスタイルに合わせて課題を設定していただいたので、大変だったと感じることはなく、接し方やかかわり方をポーテージ相談の中で教わり、日頃から気を付けていました。
成人してからも自分の思いを表現する大切な力に
成人した現在も、一度では伝わりきらないこともありますが、その時は彼なりのジェスチャーを取り入れて一生懸命わかってもらおうと伝えてくれます。「自分の気持ちがわかってもらえること」の嬉しさや楽しさを積み上げてきたからこそ、今の息子の姿があるんだと確信しています。
24歳の栄輝が、一人で行うことが難しいことに対して、まずやってみてから周囲の人に言葉で伝えられるようになったのはこの課題のおかげです。家族から離れていても、友達や職場の人、地域の人にも伝えることができるようになりました。また助けが必要な時以外にも、積極的に自分の思いを言葉や身振りを使って表現するようになりました。
私自身が助けられたポーテージ相談
息子をなかなか受け入れることが難しかった時、相談で私の気持ちを否定することなく「素直な気持ちを言ってくれてありがとう」と言われた時の嬉しさは、今でも心に残っています。この課題に取り組んでいく中では「一生懸命に伝えてくれようとしていますね!」と息子の良さや成長っぷりを一緒に喜んでくれたことが本当にうれしかったです。息子のため、将来のためにポーテージに通っていましたが、今思えば私自身を助けてもらうために通っていたんだなと思います。
また、ポーテージを通して『だったらこうしてみよう!』と考えることで、明るく前向きに子どもと関われるようになりました。現在、私達家族が楽しく人生を送れているのは、間違いなくポーテージのおかげだと確信しています。
陸上競技の他にも水泳やピアノの連弾にも挑戦している栄輝さんと一緒にお母さんの仁美さんもジョギングを楽しみ、現在はフルマラソンやトレイルランにも挑戦しています。
お姉さんの美優さんは現在特別支援学校の教員として活躍中。第87回初級研修セミナーでポーテージプログラムを学び、改めて親支援の大切さを感じたそうです。
「ポーテージに出会わなかったら今の生活はなかった」と仁美さんは何度も言葉にされていました。(広報)
「やっててよかったポーテージ」はポーテージ相談を受けた親御さんが相談を振り返って、「この課題をやっててよかった」「相談があってよかった」という声を掲載いたします。