「こども基本法」と「こどもまんなか」
「子どもの権利」を守る
「子どもの権利条約」は1989年国連総会において採択されています。日本は1994年に批准し、子ども施策推進を目的とした「こども基本法」が2022年に成立しています。そして2023年4月、施行開始となっています。
では、ここで問題です!「子どもの権利条約」と「こども基本法」には、子どもがもつ権利が示されていますが、その「権利」とは何か、4つ答えてください。
正解は、「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」、ですね。
この子どもの権利を実現するアドボケイト(代弁者)として、日本ポーテージ協会の会員にできることは何か、私たちは、法制化という時代の中で、再検討すべき段階になっていると思います。
「こども中心の社会全体システム」への課題
ひとりひとりの発達が、社会とどのような関係を持っているかをとらえた理論に、ブロンフェンブレンナーの「生態学的システム論」があります(この理論については、2022年度第45回認定相談員事例研究会でお話ししました)。
このシステム論では、個人をとりまく同心円のシステムを、マイクロ・メゾ・エクソ・マクロの4層でとらえます。
ポーテージ会員の関わる子どもの場合は、「こどもまんなか」のマイクロは、一生関わる近親者になります。
メゾは園生活・施設等で直接関わるが変化のある仲間や先生、エクソはその関係者をとりまくシステム、そしてマクロは「こども基本法」などの社会システムになります。
ポーテージの相談員は、どの層に属するでしょうか。
おそらくは個人会員も団体会員も、メゾの一員としての「切れ目なく行われる発達支援」の調整役ではないかと考えます。
「こども基本法」によるこども施策の推進の中で、いかにこの調整役としての位置づけを、「家族中心」ではなく「こども中心の社会全体システム」の一部としてアップデートしていけるか、それが日本ポーテージ協会の、時代ニーズに合わせた課題となっていると思いますが、皆さんは、いかがお考えでしょうか。
山下由紀恵(やましたゆきえ) 理事・認定スーパーバイザー
島根県立大学名誉教授、臨床発達心理士、特別教育支援士として活躍、専門は発達心理学。
大学で教鞭をとられていた時期には島根県内における乳幼児教育、発達支援において独自の発達手帳「ゆうゆう手帳」の開発をはじめ、誰もとりこぼさないインクルーシブな幼児教育や地域支援の研究・実践にご尽力されていました。
2022 年度より中期計画に基づいてポーテージプログラムの適用できる幼児教育プロジェクトのリーダーとしてご尽力されてます。