「0歳からのポーテージ」のすすめ

ポーテージプログラムの0歳からの介入

今から40年ほど前、日本でのポーテ―ジプログラムの適用のための視察旅行に参加しました。シドニーのマッコーリー大学で、0歳のダウン症の赤ちゃんが、母親の胸に抱かれて言語教室に通っている光景を見て、「こんな小さい時から何をするのだろう」と驚いたことを覚えています。当時日本では3歳から児童施設での療育が一般的でした。介入は早ければ早いほど良いことを知りました。

それからポーテージプログラムの日本での適用研究がされました。現在に至るまで「ポーテージ早期教育プログラム」のチェックリストの表紙に「0歳からの~」と書かれているように、日本で0歳からの介入が行われるようになりました。そして早期に診断されるダウン症児の0歳からの療育が行われてきました。

現在の家庭での支援の実態

その一方で医療の問題が優先したり、両親の仕事が忙しく時間的に余裕がない、どんな療育機関に行けばよいのか迷っているなどの理由で、ポーテージ発達相談を始める時期が、2歳ぐらいになる方が多いのが実態です。また、幼稚園や保育園の入園を前にして、言葉が遅い、指示が入らない、他の子どもよりも勝手な行動が多いなどに親が気づき、心配してポーテージ相談にいらっしゃる方も多く、なかなか0歳からの介入は難しいように思います。

もちろん何歳からでもポーテージ相談の効果はありますが、ポーテージプログラムでは乳幼児への刺激の行動目標が0歳から「乳児期の発達」として用意されております。乳幼児健診などで不安があった場合に、すぐポーテージ相談が受けられるシステムを作るのが相談員にとっても長年の課題でもあります。医学関係、保健所、乳児院、赤ちゃん体操教室、親の会などへの働きかけやPRを、今一度考える必要があるように思います。

親が不安なく子どもに対応ができることが重要

私の経験として、0歳からポーテージ相談を始めた親は、不安なく子どもと良い対応ができて、子どもも良い発達をしています。親と子どものコミュニケーションは子どもが生まれる前から始まっており、生後0日から親が子どもに働きかけることは沢山あります。私たち相談員は発達に疑問を持った両親が早めにポーテージ相談につながるシステムの構築に努める必要があると思います。

日本ポーテージ協会 顧問

土橋とも子