令和6年度障害児施策の動向から
~質の高い支援と障害児支援体制の強化に向けて~

                       (福)富山市恵光学園 園長 橋本 伸子

障害児支援が、こども家庭庁に移管されて1年が経とうとしています。令和5年4月1日「こども基本法」が施工され、同12月22日それに基づきこども施策の基本的方針等を定め政府全体でこども施策を総合的に推進する「こども大綱」が閣議決定されました。

心身ともに、子どもの「最善の利益」の保証

こどもまんなか の社会を実現するために障害の有無にかかわらず、子どもの視点に立って子どもの意見を聞き、子どもにとっての「最善の利益」を保証し、心身ともに健やかに育成されるよう私たち大人は努めなければなりません。各都道府県や市町村では、障害福祉課からこども関係課等に変わっている行政もありますが、まだ多くの行政は様子見のところもあり、そのまま引き続き障害福祉課で障害児支援を管轄されていると聞いています。この一年、当学園所在地の富山市では、障害福祉課からこども健康課管轄となり混乱の中、令和5年度が始まりましたが、今ようやく通常業務が行われています。

地域の障害児支援体制の強化

令和6年度に障害福祉サービス等報酬改定がありますが、こどもや家族への質の高い支援の確保と充実、地域全体の障害児支援体制の強化に向けて、適切なアセスメントとこどもの特性を踏まえた加算など改定項目が多くあります。各支援においては、個別支援計画の中に総合的な支援として5領域をすべて提供することを明示しています。また、家族支援、地域支援(移行支援)も計画の中に記載します。ポーテージをしている当園では、ポーテージプログラムの5領域と一致するので、これまで通り個別支援計画の中に位置づけていき、同時に保護者支援や家族支援にも結び付けていこうと思います。

身近に発達支援が受けられる体制づくり

また、児童発達支援センターにおいては、医療型と福祉型が一元化となり、センターを中核に、身近な地域でニーズに応じた必要な発達支援が受けられる体制整備が進められると共に地域の障害児支援体制の充実を図ることが求められます。それには、自立支援協議会のこども部会等への参画、地域の事業所との連携、各関係機関との連携など連携強化を進め、個々の特性に応じた専門性な発達支援の推進も求められています。児童発達支援・保育所等訪問・放課後等デイサービスでは、これまでの一日単価から支援時間(や内容)での基本報酬に変わります。保育所等訪問では、専門的な職員等による支援の充実なども評価されており、障害児に携わる私たち支援者は、こども・家族への質の高い支援の確保や充実を図り、インクルージョンの推進も含め支援体制の強化を今後も図っていきたいものです。


橋本伸子 日本ポーテージ協会理事・認定スーパーバイザー

社会福祉法人富山市桜谷福祉会富山市恵光学園 園長の他、日本知的障害者福祉協会児童発達支援部会北陸地区委員や富山県ダウン症協会顧問を務められ、福祉の現場を統括する立場から発信する講演等多数行われています。