コラム ポーテージの魅力発信

0 歳児の保護者に寄り添える

ポーテージ相談の特徴の 1 つは 0 歳の乳児期の発達相談に対応していることです。「ただつらい。」「将来の希望が見えない。」「何をしたらよいかわからない。」という多くの親が突き当たる状況で、ポーテージ相談にはどんなことができるのか。

今回は石川県金沢市の認定スーパーバイザー小坂正栄さんの体験を紹介します。

乳幼児からの出会い

保健センターの離乳食教室で、コナン君(仮名)とママは保健師さんと出会いました。生後10か月のコナン君は離乳食を一切受け入れず、あやしても笑わない赤ちゃんでした。市民病院の小児科で大学病院から出向していた医師を紹介され、発達障害の疑いがあると言われ、同市で行っているポーテージ相談に繋がりました。初回のママのことばに衝撃を受けました。

「着替えやおむつ替えをしても、話しかけてもあやしても反応がありません。抱っこを嫌がり、抱き上げると余計に泣くので、スクワットをしながら上下運動を繰り返すと泣き止んで寝てくれます。なんの反応もないわが子を世話するのは、まるで人形といるようで苦痛です。」と心の内を静かに打ち明けて下さいました。

ママは結婚前にプログラミングのお仕事をしていたと聞きました。パパの転勤で来られ、知り合いもなく、さぞ心細かっただろうと推測が出来ました。相談員の私がはじめにコナン君にした事は、コナン君が喜ぶ事を探す事でした。

ナイロン袋を耳元でくしゃくしゃにすると『なに?なに?』という反応があります。袋の中に手を入れて貰うと興味ぶかく、手を動かして音を立てようと繰り返します。何度か一緒に手を出し入れすると、自ら上手に手を入れる事が出来ました。音が出ると今まで無表情だったコナン君は笑い声を立てて笑ってくれました。私達はびっくりして、一緒に大笑いしました。

お孫さんと遊ぶ小坂正栄相談員

相談場面で子どもの世界を伝える

今、彼が何を発見し、何にチャレンジをし、何を楽しいと感じたのかを言語化して説明をしました。小さな手を握るように袋の中に上手く入れようと試行錯誤している様・音がここからする事を発見して、何度もやってみている様。それはコナン君の研究です。なんて素敵なのでしよう。こうやって、これからもコナン君はこの世界の物を研究し、発見し、驚き、喜ぶ。それを一緒にすぐ傍で共に喜べる。一緒にわくわくすれば、それで良いのです。とお伝えしました。

彼は空っぽのパソコンだと思って下さい。赤ちゃんは、どの国に生まれても対応出来るように、言語入力の前にこの世に生まれます。一つ一つ入力してあげて下さい。入力するのはコナン君のママなのです。と申し上げました。ママは目をキラキラされて、「分かりました。入力すれば、良いのですね。ことばを入力します」と笑顔で答えてくださいました。

一か月後・二か月後~コナン君のママは確実に一つ一つ入力をしていってくださいました。外では「ちょうちょ」「はっぱ」「お花ね~」着替えの時は「足」「ズボン」「履いたね~」コナン君はお会いする度に良い反応を見せてくれるようになり、ついにママが見つけたのは、パペットのお人形で話しかけたりあやしたりすると笑ってくれるようになった事でした。人の顔は苦手のようで後ろ向きに抱っこすると泣かないで抱きしめられてくれるようにもなりました。もうスクワットでなくても、泣いた時にも、あやせるようになりました。

笑顔でのセッションの終了

三歳健診時には、ことばの遅れの少ないタイプの自閉スペクトラム症の診断が出ました。ご両親はコナン君の成長を心から喜び、丁寧な子育てをずっとされています。就学前に他県に転居されましたが、転居先から一度、当教室に三人で来られ、通常学級に在籍をしていらっしゃるとの事でした。困った事・心配な事があったら、また連絡します。との事でセッションは笑顔で終了しました。

当教室では、自閉スペクトラム症で生後10か月からが療育を開始出来るお子様はまだ稀です。問題行動の芽が出始めた時には、いち早く対応をお願いし、行動の修正が早期に行える等、誤学習の期間も短くて済んだ事は、早期介入の利点だと実感しました。


提言:ポーテージ相談の魅力発信

ポーテージ相談の魅力発信は、2025年6月に行われた日本ポーテージ協会創立40周年記念大会での「パネルディスカッション:日本ポーテージ協会の新たな展望4視点」のなかで発表された桜井直美認定スーパーバイザーからの「ポーテージの魅力発信」8つの提言からご紹介しています。

1. 0 歳児の保護者により添える
2. お子さんの今にあわせた具体的な助言
3. ABA(応用行動分析)で課題解決(問題行動も)
4. きょうだい児も・夫婦関係も
5. 担当者会議で語れます
6. 学校・支援機関・専門家と連携
7. 色々な場所・ツールで相談も
8. 大人になっても...ずうっと