ポーテージ・マンスリーマガジン

第11号6月号2018年6月30日(土)発行 編集:広報部

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〈今月のフォーカス〉

子どもの虐待と子育て支援、そして親・家族支援

日本ポーテージ協会 会長 清水直治

 

 6月にまた、虐待による痛ましい子どもの死亡が起きてしまいました。東京・目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)は、親に過度な食事制限と無理な決まり事を強いられ、暴行を受けて亡くなりました。あばら骨が浮き出るほどで、体重は12.2kgまでに減り、おむつを着けていて、長期間、継続的に虐待を受けた子どもにみられる胸腺の委縮は、同年代平均の5分の1にまでになっていたといいます。結愛ちゃんのご冥福を祈ります。

 オレンジリボン運動は、「子ども虐待のない社会の実現」を目指す市民社会の活動で、オレンジリボンはそのシンボルマークであり、オレンジ色は子どもたちの明るい未来を担っています。厚生労働省や文部科学省も、核家族化や生活や仕事の都市化がいっそう進み地域の人々のつながりが希薄化するなかで、子育て不安や負担感が大きく圧し掛かってくる現状に、子どもたちが心身ともに健やかに育つ社会、そして地域のつながりを強め、子どもを生み育てることに喜びが感じられる社会の実現を目指して、「子ども子育て支援」施策を展開しています。子どもの虐待を感知したら、「189」(いちはやく)知らせることが私たちの責務です。

 6月17日(日)に、今年度の「ポーテーフォーラム2018」が開催されました。パネルディスカッションのテーマは、奇しくも「ポーテージプログラムにおける親・家族支援」でした。ポーテージプログラムの特徴の一つが、親(保護者)が家族の協力のもとで、家庭や日常の生活場面などの自然な環境において、持続的な子育支援が適時に行えることです。ポーテージ相談を通して、親が子どもの発達を見る目と支援する力を培い、子どもの生涯発達を見通した支援が可能なります。

0歳からの発達相談で大切なのは、親のエンパワメントと家族の協力のもとで、子どもの長所・強みを踏まえて、子どもの5年先、10年先、さらにもっと将来の姿をイメージしながら、今何を達成すればいいかを計画・実施することだと考えます。そこにはきっと、オレンジ色の明るい未来が待っているに違いありません。

 

 

 

〈わたしのアイディア〉

親・家族支援を考えるためのヒント-母親の気づきと家族の長所・強みを生かす-

日本ポーテージ協会理事 大阪支部支部長 今林和哉

 

 1冊目は、木曽陽子(著)『発達障害の可能性がある子どもの保護者支援』(晃洋書房)です。子どもの発達の障害は、毎日子どもと接していて、子どもの変化に敏感な母親によって、多くが最初に気づかれています。しかし、障害が容易に受け入れられない母親(保護者)と、気づいた後の保護者支援に係る保育士たちの役割と、支援の実際がまとめられています。ここで書かれている内容は、母親(保護者)の子どもの障害への気づきから、子育て支援の変化を捉えるアセスメントシートとしても、活用できると思います。

 

 2つ目は 、「入江安子・津村智惠子(著)『知的発達障害児を抱える家族のファミリーレジリエンスを育成するための家族介入モデルの開発』日本看護科学会誌、31(4)、pp.34–45, 2011.」という専門機関誌でみつけた論文です。ここではこれまでのような家族の病理や抱える問題の解決をめざす家族支援ではなく、家族が持つ長所や強み、主体性などの「ファミリーレジリエンス」を育てるような対応を、家族の全員に行っています。ポーテージ相談のときに、直接に出会う子どもと母親だけではなく、家族のダイナミズムにも気を配って、母親に影響を与える家族についても現状を把握して、それにもとづいた家族支援の実際を考える際の、家族アセスメントにも役に立つでしょう。

 2つとも必ずしも簡単に読めるとも限りませんが、親・家族支援について考える何かのヒントになると思います。

 

 

 

 

〈支部だより〉

 川崎麻生支部(神奈川・川崎市)

 

 川崎麻生支部でのポーテージ相談は「子育てサークル・スイミー/俊元会」からの依頼を受け、小田急線新百合ヶ丘駅周辺の施設で月1~2回行っています。

また、「子育てサークル・スイミー/俊元会」と「川崎麻生支部」と共同開催で音楽ムーブメント、ことばや摂食の勉強会、ブレインジム、アロマ虫よけスプレー手作り講座、懇談会などを企画しています。家族が中心となりSNSを使い参加者を募集し開催しています。

 

 川崎麻生支部所属の家族は、お友達とのつながりをとても大切にされています。また、お子様のために勉強したい!という熱心な家族が多いことも特徴です。今後も専門的な勉強会を開き、地域に根差した活動を続けていくことを目指しています。(藤田)

 

 

 

 

〈新連載〉

まるわかり親のための応用行動分析テクニック

第2回子どもの発達と発達の障害

 

日本ポーテージ協会会長 清水直治

 

 子どもの特徴は、つねに成長・発達しているということです。成長は身体が量的に大きくなっていくこと、発達とは成長に伴って、さまざまな身体の機能が備わりしだいに高まって大人に近づくことです。子どもは持って生まれた遺伝と、置かれた環境の影響を受けながら、周りの支えなくては生きていけない赤ちゃんから、大人のように一人で生きていく力を、だんだんと身に付けていきます。

 しかしこの発達という見方は近年の発見で、1560年ピーター・ブリューゲル作『子どもの遊戯』には、254人の子どもが91の遊びをしているということですが、子どもは単に「小さな大人」として描かれています。

 そして障害は、大人になる過程で子どもに起こる発達を阻害する要因だと言えます。しかしたとえ障害があっても、子どもは環境との相互作用をとおして、生きていく力を確実に身に付けていきます。障害の有無にかかわらず、子どもは大人になる発達の過程にあります。ポーテージ相談ではまずチェックリストを使って、6つの発達領域(「乳児期の発達」「社会性」「言語」「認知」「身辺自立」「運動」)における子どもの発達の遅れや偏りをアセスメントし、障害にばかりに目を向けるのではなく、子どもの長所・強みも取り入れて、ごく普通の子どもの発達を標準に、0歳から生涯発達を見据えた個別の指導計画を作成します。そして、子どもにもっとも「自然な環境」である家庭や日常生活において、親(保護者)が中心になり、家族の協力を得ながら、子育てのなかで子どもに力を身に付ける支援を展開します。これらがポーテージプログラムの2つの特徴である「発達的アプローチ」と「親(保護者)・家族による家庭指導」です。

 

 

 

 

編集あとがき

 6月、5歳女児虐待死の凄惨な事件が世間を震撼させました。児童虐待は、他人事ではありません。「しない」、「させない」、「見すごさない」、児童虐待の通報は国民の義務です。そして、一人ひとりの大人が、子どもへの「当たり前のしつけ」について、見直す必要があるのではないでしょうか。(南)

 

 

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