ポーテージ・マンスリーマガジン

第8号1月号201年1月31日(水)発行 編集:広報部

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〈今月のフォーカス〉

みんなが楽しい給食への取り組み

~ユニバーサルデザインから見たアレルギー児への支援~

 みなみ栄保育園(千葉)園長 南 博

 2月が近づくと、毎年花粉に悩まされます。そして、この時季になると保育園においても、花粉症の子どもを持つ保護者から与薬の依頼が相次ぎます。近年、花粉症の子どもが増えていると言われ、大手製薬会社のアンケートによると、0歳~16歳の子ども3人に1人が花粉症と親が実感しているようです。そして、その内、約43パーセントが0歳~5歳に発症するようで、花粉症専門医によれば、発症を予防するためにも、乳幼児期から花粉を回避し、さらには、部屋への侵入を防ぐことが大切なのだそうです。

 さて、アレルギーについては花粉症やアトピー性皮膚炎、気管支喘息、食物アレルギーが広く一般的に周知されていることかと思います。保育園においてのアレルギー児への対応としては、医師の指示のもと保湿剤を身体に塗ったり、喘息症状の子には運動を控えたりと、子どもの命、生活の質を高めるための支援は欠かせません。基本対応としては、厚生労働省が発行している『保育所におけるアレルギー対応ガイドライン』を基本とし、命を最優先にして取り組んでおり、特に、重篤な食物アレルギーのある子どもは、アナフィラキシーショックを伴うことがあり、除去食や代替え食を提供する際は、チェックを複数回行い慎重に対応しています。さらには、万が一のショック時に使用するエピペンなどの緊急対応の訓練を職員は定期的に行います。そして、何よりも地域の関係機関、特に消防署と情報を共有しておくことが重要です。

 しかし、一方で、おおわだ保育園(大阪府門真市)では「なかよし給食」として有名で、アレルギー用の献立は作成しておりません。みんな同じ給食を食べることを目指して献立を作成しています。それは、一部のアレルゲンを使用せず、代替食品でも変わらないおいしい給食を提供しているのです。

 前に述べたように、みんな同じ、みんなで食べる給食を提供する取り組みは徐々に広がり、私たちのみなみ栄保育園でも、小麦、卵不使用の献立を作成し、今まで別のテーブルで食べていた子どもも、みんな一緒に給食を食べることができるようになりました。子どもたちが笑顔で給食を食べる姿が一番のご褒美ではありますが、「なかよし給食」のような取り組みは共生社会の形成に向けても、私たち福祉・教育に関わる者としての社会的責任であるとも感じています。

ユニバーサルデザイン7原則の視点からアレルギー児への対応を考えてみましょう。①みんな一緒に食べられる(誰でも公平に使える)、②使える食材を工夫する(使う際に自由度が高い)、③別のテーブルや食具などを用意する必要がない(使い方が簡単で分かりやすい)、④通常の献立と除去食献立を分けず献立を一本化できる(必要な情報がたやすく分かる)、⑤特定のアレルゲンを使用しないことで、誤食を防ぐ(ミスが危険につながらない)、⑥特定のアレルゲンを除去せず、他の食材で栄養を補うので、給食としての栄養分が不足しない(身体負担が少ない)、⑦広いランチルームにて、特定のアレルゲンを使用しないことで、みんながお代わり可能になり、バイキング形式で給食を提供し、好きなお友だちと、好きな場所で楽しんで食べることができる(十分な大きさと空間がある)。多少強引ではありますが、このような視点から発想してみることから、社会的に弱い立場にある子どもたちを排除せず、子どもたちが共に育つ環境が作られていくのではないでしょうか。

「なかよし給食」のような取り組みは地域の幼稚園、保育所、小学校などの社会資源の連携が肝要です。切れ目の無いよう繋げていくことで、地域の子どもたち、親たち、先生たちへアレルギーの正しい知識、理解が深まると私は考えます。ソーシャルインクルージョン理念のもと、貧困や障害、さらにはアレルギーなどの子どもたちを包み込む「インクルージョン教育」は、「東京オリンピック・パラリンピック」以降さらに加速するのではないでしょうか。

 

ソーシャルインクルージョン(social inclusion)解説 障害保健福祉研究情報システムHP

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/glossary/Social_Inclusion.html

 

おおわだ保育園 卵・乳製品除去の「なかよし給食」 書籍(小学館)

https://www.shogakukan.co.jp/books/09106770

 

コクヨのユニバーサルデザインロン・メイスの7原則 コクヨHP

http://www.kokuyo.co.jp/creative/ud/aboutud/ud_principle.html

 

 

〈わたしのアイディア〉

「毎日、コツコツ。支援と工夫」~就学前に取り組んだこと~

 日本ポーテージ協会・埼玉花崎支部 田村 ゆき

 年が明け、そろそろ入学説明会が、各学校で行われる季節になりましたね。3月には卒業を迎える我が子も、小学校の就学前には、時間がない!と焦りながら、準備をしていたことを思い出します。今ではいい思い出ですが、息子と小学校の就学前に取り組んだことを少しご紹介します。

 我が家の息子、彰梧は18歳。毎朝、ひげをそり、ハンガーにかけた制服に着替え、ネクタイをさっと結び、「行ってきまーす!」と元気に出かけて行きます。その後ろを私がバス停まで見守りです。現在は、特別支援学校ですが、小学校は6年間、地域のみんなと通常学級で過ごしました。

ポーテージを始めたのは、3歳7か月。自閉症と発達遅滞の診断が下りた頃です。多動、人をかむ、昼夜逆転、言語もほぼなく、おむつもとれていませんでした。2人目の子育てでしたが、育て方が分かりません。担当の百名先生に、言葉が出ないことを相談したら「お母さんの口元を見ていないから、口の動かし方が分からないのよ」と教えてくれました。確かに目も合わさず、落ち着かない子でしたが、まさか口の動かし方が分からないとは・・・。体を軽く押さえ、私と目線を合わせ、ゆっくり「お」「は」「よ」「う」。毎日、かかさず行いました。家族や保育園でもポーテージで出た課題は同じように接してもらうようお願いをしました。

就学前の取り組みは、サポートの先生が付かない想定で、1人で出来るようになることでした。

 ①学校まで歩く練習

 集団登校に慣れるため、休みの日に、学校までお気に入りの重い図鑑をリュックに入れ、道路の端を学校まで、ゆっくり歩く練習もしました。どうしても跳ねてしまいます。学校まで行ったら、帰りは一駅、お楽しみの電車に乗り、タクシーで家に帰ることも。楽しいお出かけでした。

 ②着替えやトイレなど1人で出来る練習

 小学校の時間の流れはビックリするくらい速いです。着替えから急いで服をたたみ、袋にしまう練習をパジャマで行いました。また、1人でトイレで立って出来るようにするには、下着の前立ての合わせの内側を切っての調節や、お尻を出してトイレをしないように、前がジッパー式のズボンを探したりしました。小さいころからお尻を出してのトイレは、なかなか直すのに時間がかかるようです。今のうちからです。

 ③1人でできるための道具の工夫

 小学校1年生では、まだ筆圧が弱く書けなかったので、三角形で太めの鉛筆を持たせていました。筆箱や引きだしの中、道具入れには、入れる場所に入れるものの名前を書いたりしました。給食にはエジソン箸。同級生が「変わった箸だね~」と言っていましたが、みんなと一緒に給食を食べることが大事なんです。箸の練習をしつつ、出来るようになるまで持たせていました。

 ④机に座っていられる練習

 入学1年前には、座っていられず、鉛筆を持たせると投げてしまう子でしたが、おやつ前などに線を書いたり、色をぬる練習を少しずつして、入学前にはやっと自分の名前を見ながら書くようになりました。最初は嫌がっていましたが、好きなアニメの文字が分かるようになると文字を書くのが大好きになりました。毎日、少しずつは原則です。

みんな、それぞれ就学の道は違うと思います。ただ、言えることは、障がいがあるなしに関わらず、1人で出来るようになるためには、家庭がしっかり道筋をつけて支援することと、道具の工夫が欠かせません。小学校の時期は毎日が課題でしたが、クリア出来た分、何でも根気よく出来る子に育ちました。くじけそうになった時は、支部の仲間がいます。一緒に成長していきましょう。

 

 

〈親の気持ち・家族の気持ち〉

 日本ポーテージ協会・目黒世田谷支部 小宮千明

 通いはじめてから一年が経とうとしています。昨年はまわりの子と息子との発達の差をとても感じていました。家で二人でいても何をしてあげれば良いか分からず焦ってばかりでしたので、友人から日本ポーテージ協会のことを聞いてすぐに見学し、すぐに入会することを決めました。

  お世話になっている土橋先生は私を「いつも大丈夫よ!」と言って励まし、指導のコツを教えてくださいます。最近はやんちゃになった息子を喜んでくださっています。どんどん進む課題もあれば、何ヵ月も続く課題もあり一喜一憂しますが、家で息子と向き合って勉強する習慣がつきました。幼稚園の年少になり民間の療育にも通っていますが、それぞれポーテージの課題を共有し、日々の生活に活用しています。一年前は単語くらいしか言わず静かだった家も、今は息子の歌声やおしゃべりで賑やかです。幼稚園でも段々かぶっていた猫が剥がれつつあるようです。

 この一年での息子の変化と成長は、目を見張るものがありました。育児は楽ではありませんが、ほかの子と比べるのではなく、「息子の一ヶ月前、一年前と比べよう」をテーマに、これからも続けていきたいと思います。

 

〈日本ポーテージ協会1月の部活動報告〉

●広報部

【1月の活動報告】

・日時:1月12日(金) 14時00分~17時00分

・内容:① PMM1月号

② P通信127号

③ P通信128号

 

【2月の活動予定】

・日時:2月9日(金) 14時00分~16時00分(予定)

・内容:①PMM2月号

     ②HPレイアウト

●研究部

【1月の活動報告】

・日時:1月5日(金) 研究部会

・内容:『新版ポーテージ早期教育プログラム』の活動カードの見直し作業

 

 

【2月の活動予定】

・日時:2月2日(金)

毎週第1金曜日に部会の予定です。場所については、事務局にお問合せください。

 

 

 

 

 

 

〈国内・国際ニュース・インフォメーション〉

◎2017年度日本ポーテージ協会セミナー日程(2月・3月)

(1)第69回ポーテージ早期教育プログラム初級研修セミナー

日程:平成30年2月10日(土)・11日(日)・12日(月・祝)

     場所:なかまハーモニーホール(福岡・仲間市)

 

(2)第37回ポーテージ早期教育プログラム中級研修セミナー

日程:平成30年2月24日(土)・25日(日)

場所:セシオン杉並(東京・杉並区)

 

 

 

編集あとがき

 1月23日(火)には、都心でも20センチほどの雪が積もりました。その降雪のピークは前日22日(月)夕方だったので、帰宅困難に陥った方も多かったのではないでしょうか。それでも、雪がめったに降らない都会の子どもたちは今年はじめての雪に大喜びで、玄関先に2つ並んだ雪だるまを見て雪かきの疲れが和らいだものの、今年の日本海側は例年にも増して降雪が多いようで、その雪かきの労苦に思いが重なりました。(南)

 

情報をお寄せください

 認定NPO法人日本ポーテージ協会編集部では、会員の皆様より『ポーテージ通信』および『ポーテージ・マンスリーマガジン』に掲載する国内・国際活動に関する情報を募集しています。全国の支部や団体会員の方々のイベント情報やニュース・インフォメーションなども、積極的に取り上げたいと思います。事務局編集部に情報をお寄せください。

 

認定NPO法人日本ポーテージ協会

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